カルバマゼピンの作用機序と脳炎の治療

抗てんかん薬には非常に多くの種類があり、日本では20種類ぐらいが利用できると言われています。てんかんは脳神経が異常に興奮することで発症しますが、その原因は人によってさまざまです。そのため、同じ薬が高い効果を発揮する場合もあれば、かえって症状を悪化させる場合もあります。てんかんの診断は専門家でも難しいので、薬の効果は慎重に見極めなければなりません。
カルバマゼピンは最もよく使用される抗てんかん薬のひとつです。特に部分発作には第一選択薬とされています。その作用機序は、ナトリウムチャンネルを阻害することにより、脳神経の興奮を抑制するというものです。ナトリウムチャンネルは細胞膜の上に存在する関門の一種で、ナトリウムイオンを通過させる働きがあります。この関門を通って、ナトリウムイオンが神経細胞内へ大量に流れこむと、細胞がプラスの電荷を帯びて興奮状態になります。てんかんの人はナトリウムチャンネルに異常があり、興奮しやすい状態になっていると考えられます。カルバマゼピンはナトリウムイオンの流入を阻止することで、神経細胞が興奮しないように抑える効果があります。
ただしカルバマゼピンは、てんかんの発作を防ぐことはできても、原因を取り除く効果はありません。たとえば脳炎や脳梗塞などが原因になっている場合は、その病気を治療することが第一に必要です。原因がわからない場合や治療できない場合は、薬を服用しつつ様子を見ます。発作が起きにくくなってきたら、少しずつ薬を減らすことも可能です。一般にてんかんの治療には長い期間が必要で、薬を飲み忘れたり勝手にやめたりすると悪化すると言われているため、気長に構えることが大切です。